認知症ケアー

設立準備

花みずきの家の開設準備として、認知症ケアの礎を築かれた室伏君子先生の指導を受けるため、先生が教鞭を執っていた専門職大学院(日本社会福祉事業大学)に入りました。
大学院から、全国初の認知症老人専門病院「きのこエスポワール病院」と、前頭葉側頭型認知症専用のグループホームでも実習を行い開設に備えました。
 開設後、よりよい認知症支援を求めて同大学の博士課程に進みました。認知症ケア学会の設立者のお一人でもあった今井教授と認知症介護・研修副東京センター長であった中島教授に師事しました。
認知症研究の大家から受けた教えを元に、私自身,現在も認知症ケアの理論や学説、認知症を持つ方の支援のあり方の実践的研究に携わってきています。(詳細)

認知症ケアの4つの支援

その結果たどり着いたのが、以下の認知症ケアの4つの支援です。

①自尊感情の回復と維持
②強いストレスから認知症高齢者の脳を守り和らげる介護
③愛着を重視した支援
④アウトリーチナ的な支援

4つの支援について具体的にお話しします。

1️⃣自尊感情の回復と維持
「認知症は自尊感情を荒廃させる」とも言われるほど、自尊心が傷つきやすい病気です。私たちは損なわれた自尊感情を回復させ維持させる支援を行っています。自尊感情を支えることで、認知症高齢者のQOLを向上させ、当人の心理的な安定につながり、かつ認知機能や生活能力も安定してくると言われています。

2️⃣ 強いストレスから守り和らげる介護
認知力の低下に伴いストレスへの対応能力が低下するため、強いストレスを慢性的に受けやすい状態であると言えます。
 強いストレスが引き起こされると、体内にステロイドホルモンが出ます。このステロイドホルモンが急速にたくさん出ると、「海馬」の細胞が死んでしまうだけではなく、前頭前野の神経細胞も傷害されると言われています。
アルツハイマー病による神経細胞死とは別のストレス過多によるメカニズムで、「海馬」の神経細胞死が起こることで認知症が加速度的に悪化するという悪循環が生じやすいと言えます。
 さらに本人の対処能力を超えたストレスは、認知機能の悪化を促進するだけではなく、家族や周囲の人たちが最も対応に困る周辺症状を引き起こす要因ともなります。
 過大なストレスを緩和・解消させる支援を継続することで、認知機能障害があっても、周辺症状をほとんど起こすことなく穏やかな暮らしが可能になると考えます。
 そのため、ストレスから認知症の人の脳を守るためのストレス緩和支援を行っています。

3️⃣愛着を重視した支援
認知症は本人と最も大切な家族との関係性を徐々に破壊していく病気と言われています。周囲との心理的関係性が破壊されると、家族にとって介護が最も困難となる周辺症状が起こりやすくなると言われています。
 さらに家族との愛着関係の維持によって、認知症の進行が抑制されることが近年明らかになってきました。
 私たちは、当初から認知症高齢者の愛着に着目し、関係性が壊れ始めている場合にはそれを修復し、関係性が壊れていない場合でも、今後も愛着の関係性が良好に保たれるような支援を行っています。

4️⃣アウトリーチ的な支援
 よりよい認知症支援を実現するサービスも、そもそも認知症デイサービスに出向くことができなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。しかし、現実は自宅に引きこもり、通所介護サービスを頑なに拒否する人も少なくありません。この場合、サービスを最も必要としている人たちが、サービスから除外されてしまうことになります。又、引きこもりの認知証症高齢者の場合、医療的な介入も難しいと言われています。
 この場合、介護支援専門員といった他職種との連携を取りながら、引きこもりの認知症高齢者のご自宅に出向き、利用を働きかけるといったソーシャルワークのアウトリーチ的な支援が必要不可欠となりますが、介護保険制度ではこの様な支援は介護報酬の対象と認められていないため、サービスにアクセスできるよう出向いて支援をするデイサービスは、ほほ皆無であるのが現状のようです。
  私たちは、設立当初から、アウトリーチ的な支援を行っており、この方法で、引きこもっていた認知症高齢者の方々をサービスにつなげることができました。

以上に述べた4つのこの支援方法が、花みずきの家における認知症支援の最も大きな特徴であると言えます。